まず落ち着いて。土地の契約不適合、最初に確認すべき2つのこと
「購入した土地を掘ってみたら、コンクリートの塊が出てきた…」「契約書に『契約不適合責任は免責』と書いてあるけど、これって泣き寝入りするしかないの?」
土地の売買契約後、予期せぬ問題が発覚すると、誰でも冷静ではいられなくなるものです。不安と焦りで、どうしていいか分からなくなってしまいますよね。
まずは、問題の内容と契約書の記載を確認し、状況を整理することが重要です。この記事では、土地の契約不適合責任について、あなたが今何をすべきか、そしてどんな権利があるのかを、一つひとつ丁寧にご説明していきます。
このテーマの全体像については、土地探しの基本的な進め方で体系的に解説しています。
【STEP1】自己判断してよい範囲:契約書と客観的な事実の整理
専門家に相談する前に、ご自身でできることがあります。それは、法的な判断を下すことではなく、「事実を整理すること」です。後で専門家に状況を正確に伝えるためにも、このステップは非常に重要になります。
- 関係書類を一箇所に集める:売買契約書、土地契約時の重要事項説明の確認ポイント、物件状況報告書(告知書)、測量図など、契約に関する書類をすべて手元に揃えましょう。
- 問題の状況を記録する:地中埋設物などを見つけたら、「いつ」「どこで」「どのようなものが見つかったか」を時系列でメモに残します。スマートフォンで構いませんので、発見場所がわかる引きの写真と、問題物がよくわかるアップの写真を複数枚撮影しておきましょう。
- 契約書の該当箇所を確認する:売買契約書の中から、「契約不適合責任」に関する条項を探し、マーカーなどで印をつけておきます。特に「免責」や「通知期間」に関する記載は重要なポイントです。
この段階では、「この条文は有効なのか?」などと深く悩む必要はありません。あくまで客観的な事実と資料を揃えることに集中してください。資料と事実を整理しておくことで、専門家への相談時にも状況を正確に伝えやすくなります。
【STEP2】専門家へ相談すべき範囲:こんな兆候があればすぐ相談を
事実の整理ができたら、次はその情報を持って専門家に相談すべきかどうかを判断します。以下のような兆候が見られたら、ご自身で売主と交渉しようとせず、すぐに私たちのような不動産の専門家や弁護士に相談することをおすすめします。
- 高額な費用がかかりそう:見つかった地中埋設物の撤去や土壌汚染の浄化に、明らかに高額な費用がかかりそうな場合。
- 建物の建築に影響が出る:問題のせいで、予定していた建物の基礎工事ができない、あるいは計画の変更が必要になる場合。
- 売主や不動産会社の対応が不誠実:問題について連絡しても、まともに取り合ってくれなかったり、責任逃れのような言動をされたりする場合。
- 契約書の解釈が難しい:契約書の免責条項や特約の内容が複雑で、ご自身での判断が困難な場合。
こうした土地のトラブルは、初期対応が非常に重要です。時間が経つと証拠が失われたり、権利を主張できる期間が過ぎてしまったりするリスクがあります。少しでも「おかしいな」と感じたら、一人で抱え込まず、お早めにご相談ください。
土地の契約不適合責任とは?知っておくべき買主の4つの権利
ここからは、契約不適合責任に関する基本的な法律知識について説明します。2020年の民法改正により、以前の「瑕疵(かし)担保責任」は「契約不適合責任」へと変わりました。これは単なる名称変更ではなく、買主の権利がより明確に、そして手厚く保護されるようになった、とても重要な変更なのです。
契約不適合責任とは、契約で予定されていた内容と実際の土地の状態が一致しない場合に、買主が売主に対して一定の請求を行える制度です。具体的には、以下の4つの権利が認められています。

1. 追完請求:まずは「直してください」と要求する権利
契約不適合が見つかった場合、買主がまず初めに行使できるのが「追完請求権」です。これは、契約内容に適合した状態にするよう、売主に求める権利です。
- 地中埋設物の場合:埋設物の撤去を要求する。
- 土壌汚染の場合:汚染された土壌の浄化や入れ替えを要求する。
まずは「契約どおりの状態にしてください」と要求するのが基本となります。請求する際は、後々の証拠となるよう、内容証明郵便を利用するのが一般的です。もし売主がこの追完請求に相当な期間内に応じない場合、次のステップへと進むことになります。
2. 代金減額請求:追完がない場合に「減額してください」と要求する権利
売主が追完請求に応じない場合や、物理的に追完が不可能な場合には、「代金減額請求権」を行使できる可能性があります。これは、契約内容と違う部分について、その不適合の度合いに応じて売買代金の減額を求める権利です。
減額される金額は、当事者間の話し合いで決めるのが原則です。例えば、地中埋設物の撤去にかかる費用の見積もりなどを根拠に交渉を進めます。ただし、金額の折り合いがつかない場合は、調停や訴訟といった法的な手続きが必要になることもあります。
3. 契約解除:目的を達成できない場合の最終手段
契約不適合が非常に重大で、その土地を購入した目的そのものが達成できない場合には、契約を解除できる可能性もあります。これが「契約解除権」です。
例えば、「家を建てるために購入した土地に、除去することが極めて困難な巨大な岩盤があり、どうしても家が建てられない」といったケースが考えられます。ただし、契約解除は取引を白紙に戻すという非常に強力な権利であるため、そのハードルはかなり高いとされています。あくまで最終手段と考えておくべきでしょう。
4. 損害賠償請求:実害が出た場合に「補償してください」と要求する権利
契約不適合が原因で、買主に具体的な損害が発生した場合には、「損害賠償請求権」を主張できます。この権利は、これまで説明した追完請求や代金減額請求とあわせて主張することが可能です。
請求できる損害の範囲は、例えば以下のようなものが考えられます。
- 地中埋設物の調査費用や撤去費用
- 土壌汚染の調査費用や浄化費用
- 工事が遅れたことによる仮住まいの家賃延長分
ただし、損害賠償請求については、追完請求や代金減額請求と異なり、売主に帰責事由がない場合には認められません。実際にどの範囲まで請求できるかは、契約内容や発覚した不適合の内容、売主側の事情によって判断されます。
(参考:国土交通省 瑕疵担保責任について)
「免責特約」と「通知期限」契約書で確認すべきポイント
契約書を読み返したとき、「契約不適合責任は一切負いません」という免責特約や、「引渡しから2年以内に通知すること」といった期間制限の条項を見て、がっかりしている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、諦めるのはまだ早いです。これらの特約には、効力が及ばないケースがあるのです。
その免責、無効かも?売主が知っていたら責任は免れない
たとえ契約書に「契約不適合責任を免責する」という特約があったとしても、それが絶対的なものではありません。最も重要な例外は、「売主が、地中埋設物などの存在を知っていたのに、わざと買主に伝えなかった場合」です。
このように売主が知りながら買主に告げなかった事実については、免責特約があっても売主は責任を免れない可能性があります。もちろん、「売主が知っていたこと」を証明するのは簡単ではありません。しかし、過去の土地の利用状況(元々どんな建物が建っていたかなど)や、近隣住民への聞き込み、行政の資料などから、売主が知っていた可能性を推測できる場合があります。
「知った時から1年」が原則。通知期限の正しい数え方
買主が売主に対して契約不適合を主張するためには、原則として「その不適合を知った時から1年以内」に売主へ通知する必要があります。この「知った時」とは、例えば地盤調査会社から「地中にコンクリートガラがあります」という報告を受けた日などが起算点となります。
一方で、契約書に「引渡しから2年」といった特約が定められていることも多くあります。この場合、基本的には特約の内容が重要になります。期間が経過している場合でも、売主の属性、特約の有効性、売主が知りながら告げなかった事情の有無などによって結論が変わるため、早めに専門家へ確認することが大切です。
売主が宅建業者なら?買主保護のルールを知っておこう
もし、あなたが土地を購入した相手が、私たちのような不動産会社(宅建業者)である場合、さらに強力な買主保護のルールが適用されます。
宅地建物取引業法では、不動産業者が自ら売主となる場合、契約不適合責任の通知期間を「物件の引渡しの日から2年以上」とする特約を設ける場合を除き、民法の原則(知った時から1年)よりも買主に不利になるような特約は、すべて無効と定められています。
つまり、「引渡しから1年間のみ責任を負う」といった特約や、「契約不適合責任は一切免責」という特約は、売主が不動産業者である場合には無効になるのです。ご自身の契約相手が誰なのか、改めて確認してみてください。
【実践編】地中埋設物・土壌汚染が発覚した時の対処法
ここからは、実際に地中埋設物や土壌汚染といった問題に直面した際の、具体的なアクションプランを解説します。法律上の考え方に加え、実際の対応時に確認しておきたい手順を整理します。

何よりもまず証拠保全!写真と記録の正しい残し方
将来、売主と交渉したり、法的な手続きに進んだりする場合に備え、何よりも重要なのが「証拠保全」です。問題が発覚した直後の初期対応が、その後の展開を大きく左右します。
- 現状のまま保存する:見つかった埋設物などを、勝手に掘り出したり処分したりしないでください。まずは現状のまま保存することが鉄則です。
- 写真撮影のポイント:
- 日付を入れる:撮影した日時がわかるように設定しましょう。
- 全体像を撮る:土地のどのあたりから出てきたのかがわかるように、少し引いた位置から撮影します。
- 接写で撮る:何が出てきたのか、その材質や状態がわかるようにアップで撮影します。メジャーなどを横に置くと、大きさが伝わりやすくなります。
- 記録を残す:発見日時、発見者、発見時の状況などを、できるだけ詳しくメモしておきましょう。
- 専門家の報告書を確保する:地盤調査会社や建設会社が作成した報告書や見積書も、客観的な証拠として非常に重要になります。
東濃地方で特に注意すべき土地の履歴と確認ポイント
私たちが専門とする岐阜県の東濃地方(多治見市、土岐市、瑞浪市、恵那市、中津川市など)は、その歴史的背景から特有のリスクが存在します。全国一律の情報だけでは見抜けない、地域ならではの確認ポイントがあります。
例えば、この地域は古くから窯業が盛んであり、古い陶器の破片(通称:窯業ガラ)が土地の造成時に埋め戻されているケースが散見されます。少量であれば問題にならないこともありますが、大量に出てくると撤去に多額の費用がかかることも。また、過去に特定の工場があったエリアでは、土壌汚染の可能性も考慮に入れる必要があります。
こうした地域特性を踏まえ、瑞浪市で土地を探す際の確認ポイントのように、役所の資料や古地図を確認し、土地の履歴を調査することがリスク把握に役立ちます。
そのまま使える!売主・不動産会社への質問フレーズ集
問題を発見し、いざ売主や仲介した不動産会社に連絡する際、感情的になってしまうと話がこじれかねません。冷静に、かつ的確に事実を伝えるためのフレーズをご紹介します。
【基本フレーズ】
「お世話になっております。〇月〇日に購入いたしました〇〇の土地の件でご連絡いたしました。先日、建物の基礎工事の準備中に、地中からコンクリートガラが発見されました。これは契約時にはご説明のなかったものと認識しておりますが、売主様として何かご存知の点などございますでしょうか?」
【ポイント】
- まずは感情を交えず、「いつ、どこで、何があったか」という事実を淡々と伝えます。
- 「どうしてくれるんだ!」と責めるのではなく、「ご認識はいかがでしょうか?」と相手に質問する形で、まずは相手の見解を求めます。
- このやり取り自体が後の証拠になる可能性があるため、電話だけでなく、メールや書面など記録に残る形で行うのが望ましいでしょう。
より具体的な手順については、土地購入時に想定される追加工事費をご覧ください。
後悔しないための契約前セルフチェックリスト
ここまで、問題が起きた後の対処法について解説してきましたが、最善の策は、やはりトラブルを未然に防ぐことです。ここでは、土地の契約前にご自身でできるセルフチェックリストをご紹介します。
資料で確認:広告・図面・行政資料のどこを見るか
手元にある資料や、少し足を運ぶだけで手に入る情報の中にも、リスクのヒントは隠されています。
- 販売図面や広告:「現状有姿」「公簿売買」といった言葉が小さな文字で書かれていないか確認しましょう。これらの文言は、売主が土地の現状について詳しく把握していない可能性を示唆します。
- 昔の地図や航空写真:国土地理院のウェブサイト「国土地理院の地理院地図」などで過去の土地の様子を確認すると、以前は沼地や川、あるいは工場だった、といった履歴がわかることがあります。
- 行政の窓口:市役所などの建築指導課や都市計画課では、その土地の用途地域や過去の建築履歴などを確認できます。ハザードマップで災害リスクを調べることも必須です。
現地で確認:地形・隣地・不自然な点の見つけ方
資料だけではわからないことは、現地で自分の目で確かめるのが一番です。現地で確認したい主なポイントは次のとおりです。

- 土地の高低差:周辺の土地と比べて、不自然に盛り上がっていたり、逆に窪んでいたりしないか。これは、過去に何かを埋めた、あるいは土を削った痕跡かもしれません。
- 地面の状態:雑草の生え方がまばらであったり、一部だけ不自然に植物が育っていなかったりする場合、地中に何かがある可能性があります。
- 古い工作物の痕跡:古い井戸の蓋、浄化槽のマンホール、用途不明のコンクリートの基礎などが残っていないか、敷地の隅々まで歩いて確認しましょう。
- 擁壁の状態:隣地との境界にある擁壁に、ひび割れや膨らみがないか。擁壁の作り直しには高額な費用がかかる場合があります。
晴れた日だけでなく、雨の日に訪れて水はけの状態を確認するなど、現地調査は時間をかけて複数回行うことを強くお勧めします。こうした確認を重ねることで、完成宅地を選ぶ際の判断材料を増やすことができます。
もし問題が見つかったら?3つの選択肢と判断基準
契約前、あるいは契約後に、もし土地に何らかのリスクが見つかった場合、あなたは3つの選択肢を検討することになります。どの選択肢が最適か、ご自身の状況と照らし合わせて冷静に判断しましょう。
選択肢1:契約を見送る(購入をやめる)
発見されたリスクが、ご自身の許容範囲を明らかに超えていると判断した場合は、「契約をしない」あるいは「契約を解除する」という選択も重要です。例えば、除去に数百万単位の費用がかかる古家の基礎が見つかったり、売主の対応が極めて不誠実であったりするケースです。
手付金を放棄することになったとしても、それ以上の大きな損失を防ぐための賢明な判断と言える場合があります。「この土地とは縁がなかった」と気持ちを切り替え、次の良い土地を探すことにエネルギーを使いましょう。
選択肢2:条件を調整する(価格交渉・特約変更)
リスクはあるものの、金銭的な手当などで解決が可能で、かつその土地が魅力的である場合には、「条件を調整して契約する」という道があります。
例えば、地中埋設物の撤去費用の見積もりを取り、その金額分を売買価格から差し引いてもらう価格交渉を行うケースです。あるいは、契約書にある契約不適合責任の免責特約を外してもらうよう交渉することも考えられます。客観的な根拠を示しながら、条件を整理して交渉することが重要です。
選択肢3:追加調査をする(専門家による詳細調査)
リスクの兆候はあるものの、その全容がはっきりせず、判断材料が足りない。そんな時は、「専門家による追加調査」を検討します。
地盤調査会社に依頼して地中の様子を詳しく調べたり、土壌汚染の専門機関に分析を依頼したりします。調査には費用がかかりますが、その結果次第で、安心して家づくり計画を進めることができます。調査費用を売主と買主のどちらが負担するのか、調査の結果、問題が見つかった場合に契約を白紙に戻せるか(解除条件や解除特約)などを、事前にきちんと取り決めておくことが重要です。
まとめ|土地の契約不適合責任は専門家と連携して対応することが重要
土地の契約不適合責任は、買主様を守るための大切な権利です。しかし、その内容は複雑で、専門的な知識がなければ適切に行使することは難しいのが現実です。
もしあなたが土地に関するトラブルや不安を抱えているなら、どうか一人で悩まないでください。重要なのは、以下の3つのステップです。
- まずは落ち着いて、事実と資料を整理する。
- 自分の権利(追完請求、代金減額など)を正しく理解する。
- 少しでも判断に迷ったら、すぐに専門家に相談する。
私たち愛岐木材住建は、東濃地方で土地探しや住まいづくりをサポートしています。私たちは、単に土地を仲介するだけでなく、契約前の徹底したリスク調査から、万が一トラブルが発生した際の交渉まで、お客様の側に立って最後までサポートします。私たちの土地探しに強い理由は、この徹底した顧客目線にあります。
土地に関する不安や確認したい点がある場合は、状況を整理したうえでご相談ください。まずはお気軽にご状況をお聞かせいただければと思います。






