最初に結論:土地購入前の越境物、確認は4つのステップで
土地の購入を検討する際は、契約前に境界の状況を確認することが重要です。その土地の境界線が明確かどうかを確認しましょう。隣地との間にあるブロック塀、伸びてきている木の枝…。これらは「越境物」と呼ばれ、将来の近隣トラブルにつながる可能性があります。
大きな買い物で後悔しないために、何から手をつければ良いのか混乱してしまうお気持ち、とてもよく分かります。でも、ご安心ください。確認すべき要点はシンプルです。この記事では、土地購入前に最低限押さえておきたい4つのステップを、専門家の視点から分かりやすく解説していきます。
土地購入前の越境物確認 4つのステップ
- 越境物の種類とリスクを把握する:
ブロック塀・フェンス、屋根・雨樋、樹木、地中配管など、どのような越境物があるのかを確認します。 - 現地と書類で状況を確認する:
測量図や境界確認書を確認し、現地では境界標や越境物の有無をチェックします。 - 越境物がある場合は覚書で対応を整理する:
所有者、越境の内容、将来の撤去条件、承継条項などを書面で明確にします。 - 契約前に購入判断と専門家への相談要否を見極める:
そのまま購入できるのか、条件調整が必要なのか、追加調査や専門家への相談が必要なのかを判断します。
大切なのは、「どこまでが自分で判断してよい範囲で、どこからが専門家に相談すべきか」という線引きを理解することです。この記事を読み終える頃には、その判断基準が身につき、自信を持って次のステップに進めるようになっているはずです。土地探しの全体像については、「良い土地探しをする方法」でも体系的に解説していますので、併せてご覧ください。
ステップ1:あなたの土地は大丈夫?越境物の種類とリスクを把握する
「越境物」と一言でいっても、その種類はさまざまです。まずは、どのようなものが越境物に該当し、それぞれどんなリスクをはらんでいるのかを知ることから始めましょう。ご自身の検討している土地に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。こうした土地探しにおけるトラブルは、事前に知っておくことで防げるものがほとんどです。

【地上】ブロック塀・フェンスの越境
隣地との境界で最もよく見られ、トラブルにもなりやすいのがブロック塀やフェンスです。現地では、まず「傾きやひび割れはないか」「基礎部分が境界線からはみ出していないか」を確認しましょう。
特に注意したいのが、古いブロック塀です。現在の建築基準法を満たしていない可能性があり、地震などの際に倒壊する危険性も潜んでいます。こうした古家付きの土地では特に注意が必要です。また、塀の所有者が誰なのか(自分側か、お隣さんか、あるいは共有か)によって、将来の修繕や撤去の責任の所在が大きく変わるため、所有者の確認は非常に重要になります。
【空中】屋根・雨樋・電線の越境
地上だけでなく、上空のチェックも忘れてはいけません。隣家の屋根の庇(ひさし)や雨樋が、気づかないうちに敷地の上空に侵入しているケースは少なくありません。現状は問題なくても、将来、家を新築したり増改築したりする際に、これらの越境物が作業の妨げになる可能性があります。そうなると、建物の設計に思わぬ建築制限がかかってしまうことも考えられます。
また、隣地の樹木の枝が伸びてきている場合も同様です。2023年4月1日から施行された改正民法により、越境された土地の所有者は、一定の条件下で自ら枝を切り取ることが可能になりましたが、それでも円満なご近所付き合いのためには事前の確認が不可欠です。(参照:法務省「相隣関係規定等の見直し」)
【地中】水道管・ガス管・基礎の越境
最も厄介なのが、目に見えない地中の越境です。特に古い市街地では、隣地へ引き込まれている水道管やガス管が、購入予定の敷地内を通っている「他人管」と呼ばれるケースがあります。
この場合、もし地中で漏水などのトラブルが発生すると、修理のためにあなたの土地を掘り起こす必要が出てきます。その際の工事の承諾や費用負担をめぐって、深刻なトラブルに発展しかねません。また、建物の基礎部分が越境しているケースもあり、これは専門家による調査がなければ発見が困難です。こうした見えない越境物は、後から高額な追加工事費の原因となることもあるため、購入前の確認が極めて重要です。
ステップ2:現地と書類で徹底確認!自分でできる調査方法
越境物のリスクを理解したら、次はいよいよ具体的な調査に進みます。「書類」「現地」「ヒアリング」の3つの角度からアプローチすることで、問題点を浮き彫りにしていきましょう。
書類から読み解く:測量図・公図・登記簿のチェックポイント
まずは、不動産会社から提供される資料に目を通します。特に重要なのが「地積測量図」や「境界確認書」といった測量に関する書類です。
- 「確定測量図」はありますか?:すべての隣地所有者と境界の合意(立会い)を経て作成された、最も信頼性の高い図面です。これがあれば、境界に関するトラブルは大幅に減らせます。
- いつ測量されたものですか?:測量年が古いと、現況と異なっている可能性があります。
- 境界標の種類は?:図面に記載されたコンクリート杭や金属プレートなどの境界標が、現地に存在するかを確認する手がかりになります。
これらの書類は、土地の正確な範囲と法的な状況を把握するための基本です。もし手元になければ、不動産会社に確認しましょう。重要事項説明書にも、境界に関する記載があるか必ずチェックしてください。

現地で見る:境界標の確認と越境物の簡易計測
書類を片手に、現地へ足を運びましょう。現地調査では、ご自身の目で確かめることが何よりも大切です。
- 境界標を探す:書類に記載されている境界標(杭やプレート)が、実際に現地にあるかを探します。見つけにくい場合は、少し地面を掘ってみると見つかることもあります。
- 境界線をイメージする:見つけた境界標と境界標を直線で結び、そこが境界線であるとイメージします。
- 越境物を確認する:その境界線を基準に、ブロック塀や樹木、雨樋などがどちら側にあるかを目で見て確認します。メジャーがあれば、境界線からどのくらいはみ出しているか簡易的に測ってみるのも良いでしょう。
- 写真を撮る:スマートフォンで写真を撮っておきましょう。その際、境界標と越境物が一緒に写るように撮ると、後で不動産会社や専門家へ相談する際に状況を伝えやすくなります。
ただし、これはあくまで簡易的な確認です。正確な判断は土地家屋調査士などの専門家に委ねるべき、ということを忘れないでください。詳細な現地調査のチェックポイントも参考に、くまなく確認しましょう。
売主・不動産会社への質問リスト:これだけは聞くべきこと
書類と現地確認だけでは分からない、過去の経緯や隣人との関係性を探るために、売主や不動産会社へ的確な質問をすることが重要です。以下のリストを参考に、遠慮なく聞いてみましょう。私たちアイモクでは、こうした疑問にも誠実にお答えすることを大切にしています。
- 「隣地との境界はすべて確定(立会い済み)していますか?『確定測量図』はありますか?」
- 「このブロック塀(または樹木など)の所有者はどちらになりますか?」
- 「過去に、隣地の方と境界に関するお話合いをされたことはありますか?」
- 「越境物について、隣地の方と交わした『覚書』などの書類はありますか?」
これらの質問に対する答えは、その土地が抱える潜在的なリスクを見極める上で非常に重要な手がかりとなります。
ステップ3:トラブルを未然に防ぐ「越境物の覚書」完全ガイド
もし越境物が発見された場合、将来のトラブルを防ぐための最も有効な手段が「越境に関する覚書」の作成です。これは、当事者間で越境の事実を確認し、将来の対応についてルールを取り決めておくための大切な書類です。安易に「このくらいなら大丈夫だろう」と放置すると、所有者が変わった際に「昔の所有者同士の口約束は知らない」と言われ、問題が複雑化する恐れがあります。
覚書に必ず盛り込むべき6つの重要項目
覚書を作成する際は、後々のトラブルを防ぐために、以下の6つの項目を必ず盛り込むようにしましょう。
- 当事者と対象物の特定:誰と誰が、どの土地の境界にある、どの越境物(例:ブロック塀)について合意するのかを明確に記載します。
- 越境の事実確認:測量図などを添付し、「どちらの土地から、何が、何センチ越境している」という事実を客観的に記します。
- 所有権の確認:越境物があるからといって、その部分の土地の所有権が移動するわけではないことを確認します。(時効取得などを防ぐ意味合いがあります)
- 現状の容認と将来の撤去条件:現状では越境を互いに容認するが、将来、越境している側が建物を建て替える際などには、自己の費用負担で越境物を撤去・是正することを定めます。
- 承継条項:【最重要】土地の所有者が将来変わる場合に、現在の所有者が新しい所有者へ覚書の内容を説明し、承継させるよう努めることを明記します。
- 作成年月日と署名捺印:当事者双方が署名し、実印を捺印します。
これらの項目を網羅することで、覚書は将来にわたって有効なルールブックとなります。

【重要】覚書の効力と限界:所有者が変わっても有効?
ここで一つ、非常に重要な点をお伝えします。覚書は、あくまで当事者間で交わされた「契約」です。法務局で登記されるものではないため、原則として、契約した本人同士の間でしか効力がありません。
つまり、隣地の所有者が土地を売却して新しい所有者に変わった場合、新しい所有者に対して「前の所有者と交わした覚書があるから守ってください」と主張しても、法的には対抗できない可能性があるのです。
だからこそ、前述の「承継条項」が決定的に重要になります。この条項を入れておくことで、売主が土地を売却する際に、買主(新所有者)へ覚書の内容を説明し、承継の合意を得るよう求めやすくなります。これにより、覚書の効力を将来にわたって維持しやすくなるのです。この点は、土地契約の重要事項説明でも必ず確認すべきポイントです。
覚書作成を拒否されたら?考えられる次の手
隣地の所有者が、覚書の作成に協力してくれないケースも残念ながらあり得ます。その場合は、感情的にならず、まずは不動産会社を通じて協力が得られない理由(手間が面倒、費用を負担したくないなど)を探ることが大切です。
もし協力が難しい場合は、次のような選択肢を検討することになります。
- 売主の責任で越境を解消してもらう:土地の引き渡しまでに、売主の費用負担で越境物を撤去してもらうよう交渉する。
- 購入価格の交渉材料にする:将来のリスクを考慮し、土地価格の値引き交渉を行う。
- 購入を見送る:隣地所有者との関係性が良好でない場合、将来的なトラブルのリスクが高いと判断し、その土地の購入自体を見送るという決断も必要です。
一人で抱え込まず、必ず不動産会社に相談しながら冷静に対応を進めましょう。
ステップ4:購入前の最終判断!契約前チェックリストと判断の分岐点
さて、ここまでの調査で土地の状況がかなり明確になってきたはずです。最後に、集めた情報を元に「この土地を購入すべきか」を最終判断するためのツールと指針をお伝えします。安心して契約に臨むための、最後の確認作業です。将来の家づくり計画に影響がないか、しっかり見極めましょう。
契約書にサインする前の最終チェックリスト
契約直前に、以下の項目を最終確認してください。一つでも「いいえ」や「不明」があれば、担当者に説明を求め、納得できるまでサインをしてはいけません。
- [ ] 隣地との境界がすべて確定した「確定測量図」はありますか?
- [ ] 現地に境界標はすべてありましたか?
- [ ] 越境物はありましたか?
- [ ] (越境物があった場合)隣地所有者と交わした「覚書」はありますか?
- [ ] (覚書がある場合)将来の所有者に効力を引き継ぐ「承継条項」は含まれていますか?
- [ ] 重要事項説明書に、境界と越境物に関する記載があり、その内容を理解しましたか?
判断の分岐点:「見送る」「条件調整」「追加調査」の決め手
越境問題が見つかったとき、どう判断すればよいか迷いますよね。以下に判断の目安を示します。
- 購入見送りを検討するケース
- 越境物が建物の建築計画に著しい支障をきたす場合。
- 隣地所有者が覚書作成などに一切協力してくれず、関係性が険悪な場合。
- 地中の配管など、解消に多額の費用がかかる重大な越境がある場合。
- 条件調整の上、購入を検討するケース
- 軽微な越境で、承継条項付きの覚書が締結されている、または締結可能な場合。
- 越境物の撤去費用などを考慮した価格交渉がまとまる場合。
- 売主の責任で、引き渡しまでに越境物が解消される特約を結べる場合。
- 専門家による追加調査を検討するケース
- 測量図がなく、境界が不明確な場合(→土地家屋調査士に境界確定測量を依頼)。
- 地中埋設管の有無が不明でリスクが高い場合(→専門業者による調査を検討)。
最終的に、その土地が完成宅地として安心して家を建てられる状態かどうかが判断の分かれ目となります。この判断が難しいと感じた時こそ、専門家の意見を聞くべきタイミングです。
まとめ:安心できる土地購入は、事前の『境界確認』から
土地購入における越境物の確認は、一見すると面倒で複雑に感じられるかもしれません。しかし、これは将来の安心な暮らしと、あなたの大切な資産価値を守るための、非常に重要な投資です。
この記事でお伝えしたステップに沿って一つひとつ確認を進めていけば、決して難しいことではありません。書類を確認し、現地を歩き、分からないことは質問する。この基本的な行動が、後悔のない土地選びにつながります。
そして、もし少しでも判断に迷ったり、専門的な調査が必要だと感じたりした場合は、決して一人で抱え込まないでください。私たち愛岐木材住建は、東濃地域で長年培ってきた経験と専門知識で、あなたの土地探しを全力でサポートします。どんな些細な不安でも、お気軽にお問い合わせください。
土地の境界や越境物を事前に確認することで、家づくりを進める際の不安やトラブルを減らしやすくなります。






